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連載 卒後研修講座
病態の理解に基づく骨粗鬆症の治療戦略
Treatment strategies for osteoporosis based on an understanding of the pathophysiology
宮本 健史
1
T. Miyamoto
1
1熊本大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Graduate School of Medical Science, Kumamoto University, Kumamoto
キーワード:
osteoporosis
,
HIF1α
,
osteoclast
Keyword:
osteoporosis
,
HIF1α
,
osteoclast
pp.57-60
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_57
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は じ め に
骨粗鬆症は加齢に伴う退行性変化で,高齢になると程度の差こそあれ,多かれ少なかれ骨密度の低下は起こるものと認識されているというよりは,むしろそうした認識すらないまま体内では知らない間に骨粗鬆症が進行しているというほうが正しいかもしれない.ある程度の高齢になると骨粗鬆症にも気をつけないといけないとは思うものの,白髪やしわのように外からみえない,痛みやしびれのような症状もないということもあり,気をつける動機づけに乏しいのが骨粗鬆症の実態である.骨粗鬆症があると,通常では骨折にはならないような転倒などの簡単な外傷で,大腿骨近位部骨折などの重篤な脆弱性骨折を発症することに留意する必要があるが,骨粗鬆症が大腿骨近位部骨折の原因となっていることを切実に認識することも,骨折の手術療法を実施している当該ドクターでさえも十分とはいえないのが現実である.
本稿では,骨粗鬆症がどのようなメカニズムで発症するのかを概説することで,より骨粗鬆症を身近なものとしてとらえるきっかけになればと思っている.
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