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特集 整形外科領域におけるAIの応用
Ⅱ章.AIによる画像診断
4.大腿骨近位部骨折におけるAIを用いた骨折部位の可視化
Novel visualization method of fracture site in diagnostic artificial intelligence for hip fracture
井元 佑一
1,2
Y. Imoto
1,2
1帝京大学医学部附属病院外傷センター
2帝京大学整形外科
1Trauma and Reconstruction Center, Teikyo University Hospital, Tokyo
キーワード:
explainable AI
,
hip fracture
,
orthopedic trauma
Keyword:
explainable AI
,
hip fracture
,
orthopedic trauma
pp.534-538
発行日 2025年5月25日
Published Date 2025/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_534
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は じ め に
大腿骨近位部骨折における深層学習を用いたAIの診断性能は,専門医と同等であると報告されている1).さらに,AI補助診断は医師の診断精度を向上させると報告2)されており,過去に報告されたシステマティックレビュー1)においても,採用された14編のうち5編で診断補助のための診断根拠の可視化が試みられていた.可視化手法としては,Gradient-weighted Class Activation Mapping(Grad-CAM:勾配重み付けクラス活性化マッピング)3)と呼ばれるものが採用されていた.
Grad-CAMはモデルが判断するうえで重要な部位を画像上に表示させることができる可視化手法で,医療画像AI研究において非常によく用いられている.しかし,Grad-CAMには欠点がある.たとえば,図1のような整形外科医でなければ少し悩む症例に対して,Grad-CAMで可視化を行ってみると,なんとなく骨折部の近くを指し示しているようにもみえるが,骨折部を明瞭に示すことはできない.イヌとネコの違い,あるいは物体の位置など,大まかな特徴を表現する場合にはGrad-CAMで十分な場合が多いが,医療画像のように微細な特徴をピンポイントで表現することは非常にむずかしいのである.
先行研究の限界点としても,現状の医療AIで用いられている方法では可視化手法が十分でないことも多く,またそのモデルの精度や個人によって診断結果の解釈がかわる可能性があげられている1).

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