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特集 整形外科領域におけるAIの応用
Ⅱ章.AIによる画像診断
3.CTから骨転移を自動で検出するための新たな深層学習アルゴリズムの開発
A new deep learning algorithm for detecting spinal metastases on computed tomography images
佐藤 信吾
1,2
,
吉井 俊貴
2
S. Sato
1,2
,
T. Yoshii
2
1東京科学大学がん先端治療部・緩和ケア科
2東京科学大学整形外科
1Center for Innovative Cancer Treatment, Institute of Science Tokyo, Tokyo
キーワード:
AI
,
deep learning
,
CT
,
bone metastasis
Keyword:
AI
,
deep learning
,
CT
,
bone metastasis
pp.529-533
発行日 2025年5月25日
Published Date 2025/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_529
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は じ め に
がん治療の進歩に伴い,がん患者の5年生存率は上昇傾向にあり,がんと診断されても長期間生存することが可能になってきている1).また,治療期間の長期化に伴い,骨転移と診断され治療を受けるがん患者の数も増加してきている.骨転移は適切な診断・治療がなされなければ,病的骨折や脊髄麻痺などの骨関連事象を引き起こす.このような有害事象を減らすためには,骨転移を早期に発見し,骨修飾薬の投与や放射線治療などの治療介入を適切なタイミングで行うことが重要である.
骨転移の早期発見と早期治療介入は,がん患者の日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)の維持・改善につながり,さらには生命予後の延長にもつながりうる.骨転移の画像診断には,CT,MRI,ポジトロン断層撮影(PET)など複数のモダリティがあり,それぞれ異なる強みがある.CTは,その優れた空間・骨構造分解能と簡便な操作性から,がん患者の経過観察にもっとも頻繁に使用されている.一方で,骨転移の画像診断は整形外科医や放射線診断医にとってもむずかしいことが多く,発見の遅れによる病的骨折や脊髄麻痺の発症はどこの病院でも起きているものと推測される.このような発見の遅れを減らすことができれば,がん患者のQOLの低下を防ぐことができるだけでなく,病的骨折や脊髄麻痺による緊急手術の件数も減らすことができ,治療費や介護費の削減にもつながる.
そこでわれわれは,当院における骨転移患者のCTデータを活用し,骨転移を自動で検出できる新たなAIモデルの開発に着手した.

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