Japanese
English
特集 整形外科領域におけるAIの応用
Ⅱ章.AIによる画像診断
1.AI技術を活用した脊椎画像診断
Artificial intelligence for imaging diagnosis of spinal disorders
藪 晋人
1
,
高橋 真治
1
,
玉井 孝司
1
,
星野 雅俊
2
,
寺井 秀富
1
A. Yabu
1
,
S. Takahashi
1
,
K. Tamai
1
,
M. Hoshino
2
,
H. Terai
1
1大阪公立大学大学院整形外科
2済生会中津病院整形外科
1Dept of Orthop. Surg., Osaka Metropolitan University Graduate School of Medicine, Osaka
キーワード:
spine image
,
AI
,
convolutional neural network
Keyword:
spine image
,
AI
,
convolutional neural network
pp.517-523
発行日 2025年5月25日
Published Date 2025/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_517
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は じ め に
本邦において,脊椎疾患は高齢化や生活習慣の変化に伴い,増加傾向にある.働き盛りの年齢層から高齢者にいたるまで幅広くみられ,生活の質の低下や介護リスクの増大を招く要因となる.そのため,適切な治療介入が求められる一方で,診断の質を確保することが喫緊の課題である.中でも,画像診断は診断過程においてきわめて重要な役割を担っているが,その解釈は医師の知識や経験に大きく依存しており,軽微な病変や複雑な構造を正確に読み取るには時間と労力を要する.
近年,AIの急速な発展により,医療現場におけるAIの活用が注目されている.特にヒトの視覚を模したアルゴリズムである畳み込みニューラルネットワーク(convolutional neural network:CNN)は物体認識やパターン認識に優れ,画像診断との親和性が高い.CNNによる画像解析のタスクは,大きく「分類」,「検出」,「セグメンテーション」の三つに大別される.分類では画像全体から疾患の有無や種類を判別し,検出では異常部位の位置を特定する.さらに,セグメンテーションでは病変領域をピクセル単位で詳細に抽出する(図1).脊椎外科領域においてもCNNを用いた画像診断モデルの開発がすすめられており,従来の診断精度の向上や医療従事者の負担軽減,ひいては患者への早期対応に寄与することが期待されている.本稿では,日常診療でよく遭遇する脊椎疾患の画像診断におけるAI技術の現状について文献レビューを行い,今後の展望について考察した.

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