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新型コロナウイルス感染症パンデミックが脊椎疾患を有する高齢者に与えた影響
Impact of the COVID-19 pandemic on elderly patients with spinal disorders
寺井 秀富
1
,
高橋 真治
1
,
玉井 孝司
1
,
中村 博亮
1
H. Terai
1
,
S. Takahashi
1
,
K. Tamai
1
,
H. Nakamura
1
1大阪公立大学大学院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Osaka Metropolitan University Graduate School of Medicine, Osaka
キーワード:
COVID-19
,
pandemic
,
spinal disorder
,
elderly
,
exercise habit
,
female
,
QOL
,
ADL
Keyword:
COVID-19
,
pandemic
,
spinal disorder
,
elderly
,
exercise habit
,
female
,
QOL
,
ADL
pp.165-167
発行日 2024年2月1日
Published Date 2024/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_165
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【要 旨】
目 的:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は呼吸器感染症として直接的な脅威を与えたが,パンデミック対策として実施された長期の外出制限は運動器に対して間接的に負の影響を与えたのではないかと推察される.本研究の目的は脊椎疾患を有する高齢患者の生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL)がCOVID-19パンデミックによる行動様式や運動習慣の変化によってどのように影響を受けたかを調査し,ADL低下をもたらす因子を明らかにすることである.
対象および方法:2020年11月1日~12月31日に当院ならびに関連病院の脊椎外科クリニックを受診した患者にアンケートを実施した.アンケートの項目として患者基本情報のほかに,COVID-19パンデミック前後における脊椎疾患症状,運動習慣,ADL,QOLの変化について質問した.
結 果:747名にアンケートを実施し,パンデミック前から脊椎疾患の症状を有していた606例を解析対象とした.65歳未満(281例,平均年齢49.0歳)と65歳以上(325例,平均年齢75.9歳)の2群に分け,後者を高齢者群と定義した.ロジスティック回帰分析によるADL低下に対する調整オッズ比(OR)は性別[女性:1.7(1.1~2.9)],運動習慣の低下[2.4(1.4~3.9)],年齢65歳以上[2.7(1.6~4.4)]であった.
結 論:COVID-19パンデミックに伴い脊椎患者ではADLとQOLの低下がみられた.特に高齢・運動習慣の減少・女性であることがADL低下の独立した因子であった.そのため,ADL低下リスクの軽減には運動習慣の維持が重要であると考えられた.
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