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は じ め に
わが国では,急速な高齢化に伴い骨粗鬆症患者が年々増加しており,その数は1,580万人と推計されている1).骨折・転倒は要介護の要因となること(2022年国民生活調査),骨粗鬆症に関連する骨折(椎体・大腿骨近位部)は死亡率を高める(骨卒中)ことが知られている2).しかし,転倒して骨折することで要介護になるリスクが高い骨粗鬆症は,生命にかかわる疾患ではないと考える人が多く,治療率や治療継続率が低いことが問題となっている3).
骨粗鬆症患者に接する機会の多い整形外科診療所において,骨粗鬆症の治療率を向上するためには,外来で骨折リスクの高いと思われる患者に検査をすすめること,治療継続率を向上するためには,患者に治療の必要性を啓発することが必要である.しかし,個々の患者への説明に時間がかかることが多く,簡潔でかつ有効な説明が求められる4).
当施設(附属の診療所:宇沢整形外科)では,看護スタッフ5(看護師 4,メディカルアシスタント 1)名が外来業務に携わっている.一般整形外科外来に加えて,週2日,骨粗鬆症専門外来も行われており,50~90歳代の多くの閉経後女性や高齢者が治療されている5).骨粗鬆症専門外来における看護師の役割として,骨粗鬆症の病態を理解したうえでの,患者に対する生活指導や薬物療法継続の支援があげられる.われわれは,煩雑な診療の中でも効率よく,高齢患者が理解できる骨粗鬆症の指導・支援を確立するために,企業からの冊子と骨粗鬆症連携手帳をもとに患者指導用動画と治療経過表を作成した.渉猟しえた範囲では,骨粗鬆症診療における患者指導用動画の有用性について検討した先行研究は見当たらない.
本研究の目的は,指導用動画と治療経過表を使用することでより効率よく,高齢患者にも理解しやすい指導・支援につながるか否かを検討することである.
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