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【要 旨】
目 的:人工関節周囲感染(PJI)の診断において,術前関節液,術中組織,ならびに抜去したインプラントの超音波処理液を検体として用いた細菌培養の診断特性の違いは,臨床的に重要な問題である.本研究の目的は,検体の種類による細菌培養の診断精度の違いを明らかにすることである.
対象および方法:本研究は,システマティックレビューおよびメタアナリシスのガイドライン(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses:PRISMA)に準拠して実施した.PubMed,CINAHL,Cochrane Libraryを用いて包括的な文献検索を行い,2名の評価者が独立してデータ抽出および診断精度に関する質的評価を実施した.各検体の種類における感度,特異度,summary receiver operating characteristic curve(sROC)曲線およびarea under the curve(AUC)を算出した.
結 果:最終的に32件の研究が解析対象として選定された.PJI診断における感度は,術前関節液で0.63(95%信頼区間 0.56~0.70),術中組織で0.71(0.63~0.79),インプラント超音波処理液で0.78(0.68~0.85)であった.特異度は術前関節液で0.96(0.93~0.98),術中組織で0.92(0.86~0.96),インプラント超音波処理液で0.91(0.83~0.95)であった.AUCは,術前関節液で0.86,術中組織で0.88,超音波処理液で0.90であった.
結 論:インプラント超音波処理液を用いた培養は,従来の検体と比較して高い感度を示し,PJI診断に有用であることが示唆された.一方,術前関節液培養は感度が低く,単独での診断には限界があると考えられた.

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