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【要 旨】
目 的:血清マーカーとして,アルブミンおよびグロブリンによる評価が人工関節周囲感染(periprosthetic joint infection:PJI)の診断精度の向上に寄与するかを検討することである.
対象および方法:対象はPJI患者51例,無菌性弛み患者45例,変形性関節症患者334例である.白血球数,C反応性蛋白(CRP),赤沈(ESR),Dダイマー,総蛋白,アルブミン(Alb),グロブリン(Glb),好中球-リンパ球比,リンパ球-単球比,血小板-リンパ球比,アルブミン-グロブリン比(AGR),CRP-アルブミン比(CAR),CRP-AGR比(CAGR)などの血清マーカーのPJIに対する診断精度を評価した.炎症反応が低値となるlow-grade PJI(血清CRP値が10mg/l未満のPJI患者)についても,これらの血清マーカーの診断精度を評価した.
結 果:血清マーカーのうち,Alb,Glb,AGR,CRP,ESR,CAR,CAGRでは,area under the curve(AUC)がそれぞれ0.92,0.90,0.96,0.97,0.92,0.97,0.98とPJIに対して高い診断精度を認めた.Low-grade PJIでは,CRP,ESR,CAR,CAGRのAUCはそれぞれ0.69,0.80,0.66,0.82に低下したが,Alb,Glb,AGRはそれぞれ0.90,0.88,0.95と高い値を保持し,これらの血清マーカーがlow-grade PJIの診断に有用であることが示唆され,特にAGRはカットオフ値1.1で感度および特異度が0.92および0.89,カットオフ値1.2で1.00および0.79と優れた血清診断マーカーであることが検証された.
結 論:Alb,Glb,AGRはCRPと組み合わせることで,PJIに対する優れた診断マーカーとなる.
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