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病変部面積の小さい距骨骨軟骨損傷における骨軟骨片固定術と鏡視下骨髄刺激法の治療成績の比較
Clinical outcomes of osteochondral fragment fixation versus microfracture even for small osteochondral lesions of the talus
中佐 智幸
1
T. Nakasa
1
1広島大学大学院人工関節・生体材料学
1Dept. of Artificial Joints and Biomaterials, Graduate School of Biomedical and Health Science, Hiroshima University, Hiroshima
キーワード:
OLT
,
BMS
,
osteochondral fragment fixation
Keyword:
OLT
,
BMS
,
osteochondral fragment fixation
pp.884-888
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_884
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【要 旨】
目 的:骨髄刺激法(bone marrow stimulation:BMS)は病変部面積が100mm2以下の距骨骨軟骨損傷(OLT)に対して行われるが,病変部は線維組織で修復され,治療成績は経年的に悪化していくことが知られている.一方,骨軟骨片固定術は関節面を硝子軟骨で修復できる利点がある.同程度の面積の病変部に対し,両者の治療成績の違いは明らかではない.本研究の目的は,BMSと骨軟骨片固定術の治療成績を比較し,さらにBMSの治療成績のわるいOLTの特徴を調べることである.
対象および方法:OLTを有する59例62足を対象とした.BMSを26足に,骨軟骨片固定を36足に施行した.American Orthopaedic Foot & Ankle Society(AOFAS)スケールとMRIにおける骨髄浮腫を2群間で比較した.またCTを用いて,それぞれの群における骨髄浮腫の有無で病変部位置が異なるかを検討した.
結 果:最終経過観察時,100mm2以下の病変部において,AOFASスケールは骨軟骨片固定術がBMSより有意に高値であった.BMSでは,骨髄浮腫がある症例は骨髄浮腫がない症例より最終経過観察時のAOFASスケールは有意に低値であった.またBMSでは,骨髄浮腫のある症例は,病変部が矢状面でより中央に近いところに存在していた.
結 論:骨軟骨片固定術は,100mm2以下の病変部であっても,BMSより良好な治療成績が得られており,骨軟骨片固定術は小さな病変部であってもBMSより推奨される.特に矢状面で中央に近い病変部は骨軟骨片固定術のほうが良好な治療成績が得られる.
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