Japanese
English
特集 整形外科医療安全のすべて
Ⅱ章.手術における医療安全対策
1.ナビゲーション支援下手術
Navigation assisted surgery
上原 将志
1
,
大場 悠己
1
,
池上 章太
1
,
宮岡 嘉就
1
,
髙橋 淳
1
M. Uehara
1
,
H. Oba
1
,
S. Ikegami
1
,
Y. Miyaoka
1
,
J. Takahashi
1
1信州大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Shinshu University School of Medicine, Matsumoto
キーワード:
navigation
,
pedicle screw
,
computer assisted
Keyword:
navigation
,
pedicle screw
,
computer assisted
pp.554-558
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_554
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は じ め に
近年,医療安全に関する取り組みが飛躍的に進展している.これには多くの医療支援機器の開発が含まれ,臨床現場で安全な医療を実現するうえで大きな価値がある.特にナビゲーション支援下手術は,その中でも注目すべき存在である.本手術法は整形外科のさまざまな分野で採用され,ますます進化している.特に脊椎外科領域においては,神経損傷などの深刻な合併症のリスクがつきまとう.こうしたリスクを最小限に抑え,より安全な手術を実現するために,ナビゲーション支援下手術が活用されている.たとえば,椎弓根スクリュー(PS)による後方固定術はその固定力の強さから,脊椎インストゥルメンテーション手術で広く使用されている1).しかし,頚胸椎レベルのように椎弓根径が細い場所や回旋を伴う脊柱変形症例では,スクリュー逸脱による神経・血管・臓器損傷などの重篤な合併症を起こすリスクが高まる2~4).こうした課題に対して,コンピュータ支援ナビゲーションが画期的な解決策として導入された.脊椎固定術に導入されたこの技術は,術前の画像情報を活用してスクリューの刺入位置を最適化し,合併症のリスクを低減させるとともに,治療の成果を向上させるものである.また,術中撮影によるナビゲーションの開発により,手術体位と撮影体位の誤差が軽減され,ナビゲーションの精度が向上している.
本稿では,当科がこれまでに行ってきたナビゲーション支援下脊椎手術の実績と展望について紹介し,医療安全を向上させるための革新的なアプローチとして,ナビゲーション支援下手術がはたす役割を探る.
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