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はじめに
われわれ整形外科医が扱う骨・関節・靱帯・筋肉などの運動器は3次元的な構造物であるが,従来,単純X線像の2方向撮影やCTの横断像から3次元構造を想像するという手法が一般的であった.近年ではコンピュータ技術の進歩により画像の3次元構築が容易となり,さまざまな画像情報を用いた3次元的な術前計画や手術支援,そして詳細な術後評価を行うことが可能となった12).
股関節外科における代表的な手術として人工股関節全置換術(THA)と骨切り術が挙げられるが,THAにおける3次元術前計画,コンピュータ支援技術は,ほぼ確立しているといえる.コンピュータソフトウェアを用いた3次元術前計画では,日常生活動作で必要な股関節可動域の中でインプラントインピンジメントが生じにくいような最適なインプラント設置角の計画や,脚長やオフセットの3次元的な補正量の計画が可能である.そして術中支援としてコンピュータナビゲーションを使用することにより,術前計画を正確に遂行することが可能である9,15).股関節骨切り術には,骨盤骨切り術,大腿骨骨切り術があり,どちらも詳細な術前計画と高度な手術手技が要求される20).骨切り術では,骨切り部位の計画や骨切り位置の術中確認にコンピュータ支援技術は有用であるが,まだ開発段階であり,THAに対するコンピュータ支援技術ほど普及していない.
われわれはTHAとともに股関節骨切り術においてコンピュータ支援技術を用いて3次元的な術前計画を行い,その術前計画の実施においてCT-basedコンピュータナビゲーションを使用している.本稿では,当科で行っているコンピュータナビゲーションを使用したTHA,股関節骨切り術の実際を紹介し,今後の展望について論述する.
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