Japanese
English
連載 専門医のための症例問題トレーニング
神経・筋疾患(末梢神経麻痺を含む)
Neuromuscular disorder
信田 進吾
1
S. Nobuta
1
1東北労災病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Tohoku Rosai Hospital, Sendai
キーワード:
carpal tunnel syndrome
,
electrodiagnosis
Keyword:
carpal tunnel syndrome
,
electrodiagnosis
pp.160-164
発行日 2024年2月1日
Published Date 2024/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_160
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
症 例.76歳,女.
主 訴:両手のしびれ,右手の巧緻性障害.
既往歴:糖尿病,内服加療中.
現病歴:3年前から両手のしびれがあり,5ヵ月前から右手の巧緻性障害が出現し,食事で箸を使いにくい,つまみにくいなどの症状が出現したので近医を受診し,当院へ紹介され受診した.
初診時所見:両手ともに母指,示指,中指,環指橈側の指尖部にしびれと知覚鈍麻を認め,右手は母指球筋の萎縮を認めた(図1).手関節部においてTinel徴候は陰性,Phalen徴候も陰性であった.右手は母指対立運動障害があり,母指の掌側外転角は30°(図1),示指の2点識別覚テストは右15mm,左7mm,ピンチ力(指腹ピンチ)は右2.2kg,左4.0kg,握力は右14kg,左18kgであった.ほかに上肢の筋力低下,深部反射の異常,知覚障害を認めず,Jacksonテスト,Spurlingテスト,Roosテスト,Adsonテストはすべて陰性であった.
血液検査所見:血糖値105mg/dl,HbA1c 5.8%と糖尿病のコントロールは良好であった.
画像所見:手関節の単純X線像を図2に,MRIを図3に示す.
電気生理学的検査所見:正中神経伝導検査を行い,手関節部で正中神経を刺激して短母指外転筋(APB)より導出の複合筋活動電位(CMAP)を図4aに,第2虫様筋(SL)より導出のCMAPを図4bに示す.
© Nankodo Co., Ltd., 2024