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【要 旨】
目 的:アスリートにおける仙骨疲労骨折は比較的まれなスポーツ傷害である.本研究の目的は,アスリートにおける仙骨疲労骨折の臨床的・画像的特徴について検討することである.
対象および方法:1週間以上継続する腰痛を主訴に受診したアスリートで,MRIで仙骨疲労骨折と診断された患者の臨床所見および画像所見を検討した.臨床所見としては,年齢,性別,罹患期間,スポーツ競技内容,圧痛点について検討した.画像所見としては,単純X線像およびMRI T1,T2強調画像,そしてT2脂肪抑制画像の冠状断・水平断像を用いて評価した.治療は約1ヵ月間のスポーツ活動の休止およびリハビリテーションを行い,その後スポーツ活動に復帰した.
結 果:アスリートの仙骨疲労骨折を11例に認めた.男性5例,女性6例,平均年齢は18.7(15~38)歳,腰痛の罹患期間は平均1.8(1~4)週,左右差は右7例,左4例であった.スポーツ競技内容はバスケットボール,バドミントン,野球が各2例,サッカー,柔道,マラソン,バレーボール,ダンスが各1例であった.全例で圧痛点を仙骨部に認めた.腰椎分離症の既往を1例で認めた.単純X線像では全例で明らかな骨折線を認めなかったが,MRIでは全例で骨髄浮腫を認め,骨折線は仙骨の末梢・腹側から中枢・背側に向かって入っていた.治療後に全例スポーツ活動への復帰が可能であった.
結 論:アスリートの腰痛の原因として腰椎分離症や腰椎椎間板ヘルニアなどとともに,仙骨疲労骨折は鑑別すべきスポーツ傷害の一つである.詳細な圧痛部位の把握で本傷害を疑い,MRIでの特徴的な所見を確認する必要がある.アスリートの腰痛患者を診察する際には仙骨疲労骨折も念頭におく必要がある.
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