人工膝関節置換術の適応となった外傷性変形性膝関節症の特徴

Characteristics of traumatic knee osteoarthritis indicated for knee arthroplasty

は じ め に

　加齢に伴う膝痛の原因としてもっとも頻度が高いのは変形性膝関節症（膝OA）であり，厚生労働省では自覚症状を有する患者数を約1,000万人，X線像の診断による潜在的な患者数を約3,000万人と推定している^1）．膝OAは軟骨の変性や摩耗，骨の変形や破壊によるものとされており^2），その原因としては加齢に伴う変性が大多数を占めるが，骨折などの外傷に伴う外傷性膝OAも少数ではあるが散見される^3）．外傷性膝OAの原因としては，関節内骨折による関節面損傷と関節外骨折後の変形治癒による下肢アライメント不良がある．実臨床においても関節内骨折である脛骨プラトー骨折において，整復位不良は関節症性変化へいたる原因とされているので，手術で良好な整復位を得ることが推奨されている^4）．

　このように骨折と膝OAの関連性は広く知られているが，膝周囲骨折受傷後に人工膝関節置換術［人工膝関節全置換術（TKA）/人工膝単顆置換術（UKA）］にいたる割合など，骨折とTKA/UKAとの関連に関する具体的な報告は少ないのが現状である．本稿において，われわれは骨折と膝OAの関連を調べ，骨折後にTKA/UKAを施行した症例の特徴を明らかにすることを目的として調査を行った．