Japanese
English
経験と考察
保存的治療を施行した橈骨遠位端骨折で生じた複合性局所疼痛症候群の発生要因と臨床評価
Occurrence factor and clinical evaluation of complex regional pain syndrome for distal radius fracture in conservative treatment
久保田 聡
1
,
久保田 亘
1
S. Kubota
1
,
W. Kubota
1
1久保田整形外科医院
1Kubota Orthopaedic Clinic, Hiratsuka
キーワード:
distal radius fracture
,
CRPS
,
conservative treatment
Keyword:
distal radius fracture
,
CRPS
,
conservative treatment
pp.309-312
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_309
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は じ め に
橈骨遠位端骨折は日常診療で頻繁に遭遇する外傷であり,わが国では1万人あたり10.9~14人の年間発生率で,女性は男性の約3倍多く発生する疾患である1).橈骨遠位端骨折の70~90%は保存的治療で治療され,手術的治療が治療法全体に占める割合は20~30%になっており2),骨折の転位にもよるが,保存的治療が行われることが多い.
一方,橈骨遠位端骨折における保存的治療の合併症として,複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS)が報告されている3~5).CRPSは骨折などの外傷や手術後に著明な四肢の疼痛や腫脹を生じる疾患であり6),年間発症率は10万人あたり26.2人で,男性より女性のほうが3.4倍多いとされている7).CRPSは誘因から予想される程度や範囲を越えた症状を示すため,早期診断と集学的治療が必要となる8).しかし原因や発生要因については不明な点が多く,治療方針も確立されていないため,治療に難渋し,難治性の症例となりうることも多い.そのため,CRPSの発生要因などの背景因子について把握し,CRPSに対する治療成績について考察することは,適切な治療を行ううえで重要である.
われわれは保存的治療を施行した橈骨遠位端骨折で生じたCRPSの特徴について,発生要因と臨床評価に着目して検討した.
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