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【要 旨】
目 的:本研究の目的は早期変形性膝関節症(早期膝OA)におけるMRI上の骨髄異常陰影(BML)と脛骨内反アライメント,骨代謝マーカーの関連を検討することである.
対象および方法:2017年度地域住民健診に参加し,X線学的OA[Kellgren-Lawrence(KL)分類≥2]のない女性441名を対象とした.2014年の国際ワークショップで提唱された早期膝OAの診断基準に従い,正常膝,早期膝OA群に分類した.立位膝正面X線像で脛骨内方傾斜角(medial plateau tibial angle:MPTA)を,骨端線(growth plate:GP)を参照とし,脛骨関節面(tibial plateau:TP)と脛骨内側関節面(medial tibial plateau:MTP)のなす角度をそれぞれGP-TP,GP-MTPとして計測した.さらにMRIを撮像した女性205名のBMLスコアをWhole Organ MRI Scoreを用いて評価した.骨代謝マーカーとして,NTx,TRACP-5b,BAP,PINPを計測した.BMLスコアに影響する因子を線形回帰分析で検討した.
結 果:GPは309名(70%)で観察され,そのうち48名が早期膝OA群に分類された.脛骨内方傾斜角は2群間に差はなかったが,BMLを伴う早期膝OA群はBMLのない膝に比べ,脛骨内方傾斜角が大きかった(p=0.02).回帰分析よりBMLスコアは早期膝OA群では膝内反アライメントと,正常膝群ではTRACP-5bと関連していた.
結 論:BMLは骨脆弱性や膝OA進行リスクを反映していることから,BMLと関連する脛骨内反アライメントは膝OAの発症,進行に影響する可能性が示唆された.
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