Japanese
English
連載 最新原著レビュー
初回変性頚椎疾患における手術関連合併症の危険因子
-――脊椎外科医が管理するデータベースを用いて
Risk factor analysis of surgery-related complications in primary cervical spine surgery for degenerative diseases using a surgeon-maintained database
武中 章太
1
,
柏井 将文
2
,
岩﨑 幹季
3
,
牧野 孝洋
4
,
坂井 勇介
5
,
海渡 貴司
1
S. Takenaka
1
,
M. Kashii
2
,
M. Iwasaki
3
,
T. Makino
4
,
Y. Sakai
5
,
T. Kaito
1
1大阪大学大学院整形外科
2市立豊中病院整形外科
3大阪労災病院整形外科
4牧野整形外科医院
5市立吹田市民病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Graduate School of Medicine, Osaka University, Osaka
キーワード:
cervical spine
,
C5 palsy
,
dural tear
,
foraminotomy
Keyword:
cervical spine
,
C5 palsy
,
dural tear
,
foraminotomy
pp.183-186
発行日 2023年2月1日
Published Date 2023/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_183
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
【要 旨】
目 的:本研究は脊椎外科医が管理するデータベースを用いて,初回変性頚椎手術における周術期手術関連合併症の危険因子の探索を目的とした.
対象および方法:初回変性頚椎手術が施行された患者5,015例を対象とした.手術関連合併症に対する疾患,手術方法,患者背景の影響を調査した.サブカテゴリとして,頚椎後弯10°以上,後縦靱帯骨化症(OPLL)の骨化占拠率50%以上,椎間孔拡大術を使用した.検討した手術関連合併症は,術後上肢麻痺[徒手筋力検査(MMT)で二つ以上の筋力低下,または術後にMMTが0~2に悪化したもの],術後上肢麻痺以外の神経障害,硬膜損傷,髄液漏,手術部位感染(SSI)および術後血腫であり,多変量ロジスティック回帰分析を施行した.
結 果:術後上肢麻痺の有意な危険因子(p<0.05)は,OPLL,椎間孔拡大術,高齢,前方固定術,手術椎弓数であった.また,OPLLは術後上肢麻痺を除く神経障害,硬膜損傷,髄液漏の危険因子でもあった.OPLL患者のみで解析すると,硬膜損傷と髄液漏が骨化占有率50%以上の患者に多く認められた.関節リウマチはSSIの危険因子であった.
結 論:OPLLは術後上肢麻痺,術後上肢麻痺以外の神経障害,硬膜損傷,髄液漏のリスクが高く,特に骨化占拠率50%以上の患者で顕著であった.術後上肢麻痺とSSIでは,それぞれ椎間孔拡大術と関節リウマチが顕著な危険因子であった.
© Nankodo Co., Ltd., 2023