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筋間中隔を含む厚さ6mm以上の自家大腿筋膜グラフトを用いた鏡視下肩上方関節包再建術の治療成績
Structural and clinical outcomes after superior capsule reconstruction using an at least 6-mm-thick fascia lata autograft including the intermuscular septum
長谷川 彰彦
1
A. Hasegawa
1
1大阪医科薬科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Division of Vital Care and Reconstructive Medicine, Osaka Medical and Pharmaceutical University, Takatsuki
キーワード:
superior capsule reconstruction
,
shoulder
,
MRI
Keyword:
superior capsule reconstruction
,
shoulder
,
MRI
pp.1123-1127
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_1123
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【要 旨】
背 景:肩上方関節包再建術(SCR)は修復困難な腱板断裂に対する有効な治療法である.本研究の目的は,鏡視下SCRにおけるグラフト断裂の発生率,発生時期,およびグラフト断裂が治療成績に与える影響について調査することである.
対象および方法:修復困難な腱板断裂に対して筋間中隔を含む厚さ6mm以上の大腿筋膜グラフトを用いて鏡視下SCRを行い,術後2年以上の経過観察と術後3,6,12,24ヵ月時のMRI検査でグラフトの治癒状態について評価を行うことができた154肩を対象とした.術前および最終調査時における肩痛,American Shoulder and Elbow Surgeons(ASES)スコアと肩関節自動可動域を評価した.
結 果:術後のグラフト断裂の発生率は154肩中18肩(11.7%)であった.グラフト断裂の発生時期は14肩(77.8%)が6ヵ月以内であった.Visual analogue scale(VAS),ASESスコアはグラフト断裂の有無にかかわらず有意に改善した(ともにp<0.0001)が,グラフト断裂群ではグラフト治癒群よりも術後のVASとASESスコアが有意に劣っていた(p=0.007,p<0.0001).
結 論:筋間中隔を含めた6mm以上の厚さの大腿筋膜グラフトを使用した鏡視下SCRにおけるグラフト断裂の発生率は11.7%であり,その多く(77.8%)は術後6ヵ月以内に生じていた.グラフト断裂群はグラフト治癒群よりも臨床成績が劣っていた.
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