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連載 最新原著レビュー
小切開法による上方関節包再建術の臨床的有用性
Clinical effectiveness of mini-open superior capsular reconstruction using autologous tensor fascia lata graft
高山 和政
1
,
山田 俊介
1
,
小堀 悠
1
K. Takayama
1
,
S. Yamada
1
,
Y. Kobori
1
1倉敷中央病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Kurashiki Central Hospital, Kurashiki
キーワード:
mini open
,
superior capsular reconstruction
,
tensor facsia lata graft
Keyword:
mini open
,
superior capsular reconstruction
,
tensor facsia lata graft
pp.910-913
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_910
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【要 旨】
目 的:上方関節包再建術(SCR)において,十分な厚みと長さを有したグラフトを用いることは,肩甲上腕関節の安定性を獲得するうえで重要な要素である.しかし厚く長いグラフトを肩峰下滑液腔内に挿入した場合,視野確保が困難となりやすい.これらの問題を解決すべく,われわれは小切開法によるSCRを行ってきた.本研究の目的は,小切開法SCRと鏡視下SCR法の臨床成績を比較することである.
対象および方法:合計46(鏡視下SCR 20,小切開法SCR 26)例を比較した.浜田分類garde 2もしくは3で,修復不可能な腱板断裂を有する患者を対象とした.グラフト材料は自家大腿筋膜張筋を用いた.検討項目は,手術時間,グラフト挿入時に用いた外側ポータルの皮切長,グラフトサイズ(長さ,幅,厚さ),American Shoulder and Elbow Surgeons(ASES) score,肩関節可動域およびグラフトの断裂率とした.
結 果:手術時間は175±48分vs. 133±25分と小切開法が有意に短かったものの(p<0.001),皮切長には有意差はなかった(2.4±0.2cm vs. 2.5±0.1cm,p=0.079).一方,グラフトサイズ,ASES score,肩関節可動域およびグラフト断裂率には有意差はなかった.
結 論:皮切長に有意差がないことを考慮すると,手術侵襲という観点からは鏡視下法と小切開法との間に差がないことが示唆された.一方,両群間の臨床成績には差がなく,小切開法の手術時間が短いことを考慮すると,小切開法SCRは鏡視下SCR法に代替可能かつ簡便な方法であることが示唆された.
© Nankodo Co., Ltd., 2022