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連載 最新原著レビュー
頚部筋群の緊張が全身の不定愁訴に関与している
Cervical muscle diseases are associated with indefinite and various symptoms in the whole body
松井 孝嘉
1
,
川口 浩
1
T. Matsui
1
,
H. Kawaguchi
1
1東京脳神経センター
1Tokyo Neurological Center, Tokyo
キーワード:
cervical muscle
,
indefinite symptom
,
treatment
,
parasympathetic nerve
Keyword:
cervical muscle
,
indefinite symptom
,
treatment
,
parasympathetic nerve
pp.88-91
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_88
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【要 旨】
目 的:全身の不定愁訴を訴える患者は,頚部筋群の凝りや痛みを合併していることが多い.われわれは,これらの不定愁訴における頚部筋群の異常の関与を解明するために11年間の前向き症例集積研究を行った.
対象および方法:頚・肩部の症状に加えて三つ以上の全身不定愁訴を訴えて外来を受診した患者のうち,器質性病変がみつからず,外来における薬物治療を含む保存的治療が無効であった1,863例の入院患者を対象とした.入院中に頚部筋群への局所物理療法を毎日行い,患者の自己記載による頚・肩の症状を除く全28の全身不定愁訴の有無を入院時と退院時に比較した.
結 果:不定愁訴の数は入院期間中に著明に減少した.28の不定愁訴のすべてが退院時には50%以上の改善率を示した.不定愁訴数は入院時には平均17.8であったのに対し退院時には7.4に減少した(p<0.0001).10以上の不定愁訴を訴えた患者は,入院時には91.1%に対し退院時には29.3%であった.さらに,8.2%の患者が退院時にはまったくの無症状(愁訴数ゼロ)にまで改善した.
結 論:頚部筋群の緊張が全身の不定愁訴に関与していることが示唆された.頚部筋群への局所療法が不定愁訴の治療の突破口になる可能性がある.
© Nankodo Co., Ltd., 2022