Japanese
English
経験と考察
頭蓋直達牽引下頚椎後方矯正固定術
-――術後C5麻痺は防げるか
Cervical posterior correction fusion under halo-gravity traction to prevent of C5 palsy
小島 利協
1
,
武村 憲治
1
,
柏崎 裕一
1
,
河合 孝誠
1
,
大藤 勇樹
1
T. Kojima
1
,
K. Takemura
1
,
Y. Kashiwazaki
1
,
K. Kawai
1
,
Y. Oto
1
1磯子中央病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Isogo Central Hospital, Yokohama
キーワード:
posterior correction fusion
,
halo-gravity traction
,
C5 palsy
Keyword:
posterior correction fusion
,
halo-gravity traction
,
C5 palsy
pp.740-744
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_740
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
頚椎後弯矯正固定術後のC5麻痺は頻度の高い合併症であり,C4/C5変性によるC5椎間孔狭窄が危険因子でC5神経根障害が原因と考えられる1).前後合併手術での発生頻度がより高く1,2),予防的C5椎間孔拡大を行ってもなお高率に術後C5麻痺は発生する2).後方除圧術においても術後C5麻痺は発生しており,後弯矯正による医原性椎間孔狭窄のみが原因ではなく,脊柱管拡大による脊髄後方移動に伴う神経根牽引も原因の一つと考えられる3).頚部神経根症が原因の肩挙上・肘屈曲障害はC6麻痺でも起こるため4),術後のいわゆるC5麻痺は同様のC6神経根障害でも起こりうると考えている.自然経過で回復する場合が多いが,術後長期にわたり回復が乏しい場合もあり,可能な範囲での予防が必要である3,5).C4/C5・C5/C6椎間を含めた前方すべり・後弯の矯正固定を行う場合にはC5麻痺発生の危険性が高くなると考えている.用手的牽引矯正(頚椎牽引テスト)で神経症状の発現がない場合や痛み・しびれが改善する場合には,直達牽引下で矯正固定することにより医原性椎間孔狭窄による術後C5麻痺を防げると考え,2020年8月から頭蓋直達牽引下後方矯正固定術を行った6).
© Nankodo Co., Ltd., 2022