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は じ め に
高齢者を主とする重症骨粗鬆症は増加しており,多くの高齢者においては骨折が切迫した状態と考えられる.近年,Swedish National Patient Registerのリアルワールドのデータ解析より,既存骨折発生からの経過年数は新規骨折の独立した予測因子であることが示され,そのリスクを入念に評価するとともに,骨折発生後には早急に治療介入を行う必要があると報告されている1).また,脆弱性骨折の既往は,将来の骨折における最重要リスク因子であり,骨折発生後12~24ヵ月にそのリスクが最大化することが複数報告されている2,3).
したがって,これらの骨折連鎖を断ち切るには,短期間でより効率的に骨代謝をコントロールし,骨密度(BMD)を増加し,かつ骨質の劣化を食い止めることが急務であろう4~6).さらに近年の研究により,長年にわたって治療薬の第一選択となってきた骨吸収抑制剤から,一転して骨形成優位anabolic 1stの概念が広まりつつある7~9).これら骨形成促進剤の詳細な作用は,実地臨床におけるエビデンスでさらなる裏づけが求められる.
抗スクレロスチン抗体薬のロモソズマブは,短期間でのBMD増加および各種骨折抑制作用をもつ10).しかし,ロモソズマブに関しては,既存椎体骨折を有する,より厳しい重症の基準を設定した症例群において,実臨床での骨代謝改善効果の報告はまだない.そこで本研究では,BMDと併せて,骨形成マーカーのtotal type Ⅰ procollagen N-terminal propeptide(P1NP),骨吸収マーカーの酒石酸抵抗酸ホスタファーゼ-5b(TRACP-5b)の変動を検証した.
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