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特集 整形外科画像診断・評価の進歩
Ⅰ.X線検査
5.超低線量X線画像診断装置を用いた脊椎アライメント評価
Assessment of whole body alignment using biplanar slot-scanning full body stereoradiography
初鹿野 駿
1
,
長谷川 和宏
1
S. Hatsushikano
1
,
K. Hasegawa
1
1亀田第一病院新潟脊椎外科センター
1Niigata Spine Surgery Center, Kameda Daiichi Hospital, Niigata
キーワード:
biplanar slot-scanning full body stereoradiography
,
standing whole body alignment
,
standing balance
Keyword:
biplanar slot-scanning full body stereoradiography
,
standing whole body alignment
,
standing balance
pp.529-533
発行日 2022年5月25日
Published Date 2022/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_529
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は じ め に
頭部から脊柱,骨盤,下肢はつながった鎖のような構造をしており,立位姿勢の保持をするために全身のアライメントの調整を行うことにより目的の姿勢や動作を可能にしている.人間の立位姿勢は足部を支点とした円錐に例えられ,安定姿勢では動揺が小さい(小円錐)ので筋力消費が小さく,不安定姿勢では動揺が大きい(大円錐)ので筋力消費が大きくなると考えられている(cone of economy)1).したがって,脊椎アライメントの評価は,脊椎だけではなく骨盤や下肢を含めた全身のアライメント評価を行うことが重要である.脊椎アライメント評価には,主に従来型X線撮影装置(computed radiography:CR)が用いられており,頚椎や腰椎など局所の骨形状の評価には適しているが,カセッテサイズの制限のため全身の撮影はむずかしい.また,CR画像では,頚胸椎移行部や腰仙椎移行部では骨や軟部組織との重なりによって不明瞭となることや,X線入射中心点から離れたカセッテ両端ではX線が被写体に対して斜入するため画像の拡大や歪みが生じ,アライメント計測精度は低くなる.Biplanar slot-scanning full body stereoradiography(sterEOS:EOS Imaging社,Paris)は,これらの限界を克服した低X線被ばく撮影装置であり,世界に広まりつつある2,3).sterEOSでは,鮮明な撮影画像を用いた三次元モデリングによる正確なアライメント計測,立位姿勢での全身評価が可能である.本稿ではsterEOSを用いた立位全身アライメント評価について概説する.
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