Japanese
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経験と考察
頚肩腕症候群に対する顎を引いて頭位の前傾傾向を防止するバンドを職場以外で装着した場合の効果
Efficacy of chin tuck belt for preventing head forward bend position worn at a time outside of work for cervico-omo-brachial syndrome
戸田 佳孝
1
Y. Toda
1
1戸田整形外科リウマチ科クリニック
1Toda Orthopedic Rheumatology Clinic, Suita
キーワード:
cervico-omo-brachial syndrome
,
orthotic device
,
conservative treatment
Keyword:
cervico-omo-brachial syndrome
,
orthotic device
,
conservative treatment
pp.212-215
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_212
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は じ め に
頚肩腕症候群の病因の一つは,長時間ディスプレイをみる作業の際に頭部前傾位によって頭部の重心が前に移動することで,頭部の重量を頚肩腕の筋群で支えてしまうことである1).
頚肩腕部の姿勢矯正方法としては,顎を引いて頭位の前傾傾向を防止し,数時間ごとに胸を張り,胸筋を伸長する顎引き姿勢が推奨されている2).しかし,長時間のディスプレイをみる作業で顎引き姿勢を保持することは多くの頚肩腕症候群患者にとって困難である.
筆者3)は,顎を引いて頭位の前傾傾向を防止する顎引きバンドを考案し,頚肩腕症候群に対する効果を検証した(図1).51例の患者を無作為にバンドを装着しない25例の対照群と職場での作業中に1日3時間以上顎引きバンドを装着するように指導した26例の顎引き群に分類した.その結果,顎引き群は対照群に比し生活困難度指数(p=0.02)と僧帽筋の筋硬度(p=0.025)の改善率が有意に優れていた.
しかし,若年女性の割合が多い頚肩腕症候群患者では,職場で顎引きバンドを装着することを羞恥と考えることが多い.そこで本研究では,家庭内で顎引きバンドを装着するように指導した患者群と職場で装着するように指導した患者群に分け,その効果を比較した.
© Nankodo Co., Ltd., 2022