Japanese
English
経験と考察
頚肩腕症候群に対するトリガーポイント注射と併用した頚部筋に対する抵抗運動の効果
Efficacy of resistant exercise on neck muscles combined with trigger point injections for cervico-omo-brachial syndrome
戸田 佳孝
1
Y. Toda
1
1戸田整形外科リウマチ科クリニック
1Toda Orthopedic Rheumatology Clinic, Suita
キーワード:
cervico-omo-brachial syndrome
,
resistant exercise
,
conservative treatment
Keyword:
cervico-omo-brachial syndrome
,
resistant exercise
,
conservative treatment
pp.938-942
発行日 2021年8月1日
Published Date 2021/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_938
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は じ め に
いわゆる “肩こり”(頚肩腕症候群)は,長時間同姿勢でディスプレイをみる作業をすると起こりやすく,女性の事務職では80.2%に発症する1).その理由について,竹井2)は,長時間の同一姿勢による筋収縮のために血管が圧縮されて阻血が生じ,無意識でも筋収縮が続くことで「こり」となり「痛み」が生じると述べている.
連続した収縮を改善するためにストレッチング(ストレッチ)が行われる.頚肩腕症候群に対する自己ストレッチは頚部後方筋にのみ行う人が多いが,過去の研究では前方筋ストレッチを併用したほうが生活困難度指数(p=0.049)と胸鎖乳突筋の筋硬度(p<0.0001)の改善が有意に優れていた3).
一方,Caillet4)は常に約4kgもの頭部を支えている頚部には,わずかな重心や姿勢の変化により多大なストレスが生じうるため頚肩腕症候群を「姿勢による外傷」と表現している.ゆえに,頚肩腕症候群の根治療法としては,重心や姿勢の変化でも頭部を安定して支えるために頚部の筋肉を鍛えることが重要である.
本研究では,基礎療法として1週ごとに僧帽筋へのトリガーポイント注射を行う41例の頚肩腕症候群患者を,無作為に頚椎の伸展,屈曲,左・右屈,左・右回旋に対する抵抗運動を行う筋力トレーニング(筋トレ)群と基礎療法のみを行う対照群に分け,8週間治療前後での生活困難度指数の改善率を2群間で比較した.
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