Japanese
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きかいと装具
頚肩腕症候群に対するトリガーポイント注射と併用しマスクの下に装着する顎を引いて頭位の前傾傾向を防止するバンドの効果
Efficacy of chin-in band for preventing head forward bend position worn under mask combined with trigger point injections for cervico-omo-brachial syndrome
戸田 佳孝
1
Y. Toda
1
1戸田整形外科リウマチ科クリニック
1Toda Orthopedic Rheumatology Clinic, Suita
キーワード:
cervico-omo-brachial syndrome
,
orthotic device
,
conservative treatment
Keyword:
cervico-omo-brachial syndrome
,
orthotic device
,
conservative treatment
pp.1174-1178
発行日 2021年10月1日
Published Date 2021/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_1174
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は じ め に
頚肩腕症候群は,長時間ディスプレイをみる作業により頭位が前傾傾向になる不良姿勢が原因の一つである.Nejatiら1)は,頚部痛のない46名の被験者と頚部痛のある55名のデスクワーク中の動作解析を行った.その結果,頚部痛のある群ではない群に比べて上位胸椎に対する頭蓋頚椎移行部が有意に前方傾斜し,顎が前方に移動する姿勢を示していた.福井ら2)は頭部前傾位では頭部の重心が前に移動してしまうために,頭を首の筋肉だけで支えなくてはならなくなり,筋肉が緊張し,慢性的な首の痛みや肩こりが生じると述べている.
頚肩腕部の姿勢矯正方法としては,顎を引いて頭位の前傾傾向を防止し,数時間ごとに胸を張り,胸筋を伸長する顎引き姿勢が推奨されている3).しかし,顎引き姿勢を保持することは多くの頚肩腕症候群患者にとって困難である.
本研究を行った2020年現在,新型コロナウィルス感染症流行のため日常生活でマスクを着用する習慣が定着している.筆者はマスクの下にオトガイ隆起から頚椎へ牽引をかける顎引きバンドを装着すれば,衆目を意識することなく,顎引き姿勢を維持し,頚肩腕症候群の発症を予防できるとの仮説を立てた.
本研究では基礎療法として2週ごとに僧帽筋へのトリガーポイント注射を行う56例の頚肩腕症候群患者を無作為に顎引きバンドを装着する群と基礎療法のみを行う対照群に分け,8週間治療前後での生活困難度指数と僧帽筋筋硬度の改善率を2群間で比較した.
© Nankodo Co., Ltd., 2021