誌説
外傷センター構想と外傷整形外科医
大饗 和憲
1
1広島大学大学院四肢外傷再建学講座教授
pp.1330-1330
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_1330
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外傷治療において,preventable trauma death(PTD:防ぎえた外傷死)を減少させることは必須の課題です.1960年代の米国ではPTDは約50%であったと報告されています.これを問題視し,米国では外傷センターの整備が行われました.全国に外傷センターを設置し,そこに専門の医師を集め,外傷患者を集約したのです.その結果,1980年代にはPTDが20%にまで減少したと報告されています.わが国では,2003年の厚生労働科学特別研究事業調べではPTDは38.6%と報告されました.この時点で,米国に約20年の遅れをとっているということになります.そこで日本では外傷患者の初期対応・診療の標準化を行うために『外傷病院前救護ガイドラインJPTEC』,『外傷初期診療ガイドラインJATEC』が作成されました.この標準化により外傷治療に対する系統的な教育がすすんだのは事実です.
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