保健行政スコープ
産業保健センター構想のねらい
原 徳壽
1
1労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課
pp.821-823
発行日 1993年11月15日
Published Date 1993/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900925
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.はじめに
労働者の健康を守るために,「常時50人以上の労働者を使用する事業場においては,医師の中から産業医を選任する」制度が定められている.この産業医の歴史は,法制的には昭和47年の労働安全衛生法の制定に始まるが,実質的には戦後の労働基準法時代(医師である衛生管理者),さらに戦前の工場法時代(工場医)に遡ることが出来る.この歴史の中で,産業医が対応する主要なテーマは結核であり,有害業務であった.これは社会全般の状況とも並行した課題であったといえる.
近年,産業構造の変化は,第3次産業に従事する労働者の数を飛躍的に増大させるとともに,作業環境の大きな改善をもたらした.また,国民全体の高齢化が進むとともに,労働者の高齢化も著しく進んできている.さらに,社会環境の変化とも併せて,女性の職場進出も大きなものとなってきている.
このような状況の下で,労働者の健康に関するテーマも大きく変化してきているといえよう,すなわち,有害業務に従事する労働者の健康管理はもちろんゆるがせに出来ない問題であるが,新たに,精神的なストレスの問題,高血圧や糖尿病などの成人病の問題などが大きな課題となってきている.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.