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【要 旨】
目 的:近年,人工膝関節全置換術(TKA)の術後患者満足度は約80%程度とそれほど高くないことが報告されている.これらの報告は主にOAが対象であり,関節リウマチ(RA)術後の満足度についての報告は少ない.そこでわれわれは,RAに対するTKAの術後成績,術後満足度を調査し,OAに対するTKAとの比較を行った.
対象および方法:OAに対してTKAを行った群(OA群)459膝とRAに対してTKAを行った群(RA群)75膝の術前および術後2年時のnew knee society score(KSS),pain catastrophizing scale(PCS),pain DETECT score(PDS)を調べ,比較を行った.
結 果:術前はRA群ではOA群に比べtotal activityスコアが低く,PCSが低かった.一方,術後はRA群ではOA群に比べtotal activityスコアが低いものの,可動域(ROM)や満足度は高いという結果が得られた.患者満足度を目的変数とした重回帰分析を行ったところ,symptoms,basic activity,expectation,discretional activityの項目がプラスに働き,PCSはマイナスに働くことがわかった.また,RAの診断自体で患者満足度を1.5ポイントあげることがわかった.
結 論:RAに対するTKAはOAに対するTKAと比べ,activityスコアは低いにもかかわらず,術後患者満足度が高いことがわかった.患者満足度を目的変数とした重回帰分析でPCSが負に働くという結果を考慮すると,RA患者では関節の炎症による侵害受容性疼痛が主であり,OA患者にしばしば含まれる心因性疼痛をきたした患者が少ないことが理由の一つとして考えられた.今後はRA患者においても機能回復をいかに高めうるかが課題になると考えられる.
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