書評
『整形外科卒後研修Q&A(改訂第8版)――問題編/解説編』
谷口 昇
1
1鹿児島大学大学院整形外科教授
pp.1314-1314
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_1314
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- 文献概要
2020年度の日本整形外科学会専門医試験は,新型コロナウイルス感染拡大に伴い,各都道府県に設けられた会場でcomputer based testing(CBT)方式で行われた.ビデオ問題と症例問題による従来の口頭試験がなくなり,筆答試験のみ120分間で計100問と時間を短縮して行われたわけであるが,これにより従来の試験に比べ筆答試験の一問一問の重みはより大きくなったといえる.私は2021年度の専門医試験委員会委員長を務めているが,専門医試験は,受験者が専門医レベルに達しているか判定するのが目的であるのはもちろんのこと,試験対策として過去問や整形外科卒後研修Q&Aに掲載された問題に取り組むことにより,誤った知識や理解を整理する機会を必然的に生み出すことも重要ではないかと考えている.本書は,過去の専門医試験で出題された選りすぐりの良問を収載している.良問を測る基準は,識別指数や正解率などから導き出されるものであるが,それらの条件を満たし,修正や削除を繰り返された計1,188題が最終的に採用されている.別冊の各分野の専門医による解説編も充実しており,専門医試験対策だけでなく,専門医取得後も自らの知識を総点検するために活用できる内容となっている.実際に自分で問題を解いてみて,やはり知識というのは成書を読み流すだけでは身につかず,疑問を解決する過程をふんでこそ記憶に定着することを改めて実感する.
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