視座
卒後研修について
田辺 剛造
1
1岡山労災病院
pp.223
発行日 1993年3月25日
Published Date 1993/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901060
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整形外科学会の卒後研修制度は発足後かなりの年月を経過し,一応地に着いたように思えます.私も大学在任中は制度の確立に微力ながらお手伝いできたと自負していますが,退官後第一線病院の管理運営にたずさわってみますと,在任中余り気が付かなかったことが多くあることを知りました.
病院運営上しばしば見られ,困惑させられている問題に,医師の患者に対する応待上の摩擦,医師と他職種の人達との仕事遂行でのいざこざ等,医師にからんだ診療上での純然たる医学的問題以外のことが挙げられます.患者に対しては,よく訴えを聞き,こちらのそれに対する考えを十分に説明の上,納得してもらうこと(informed concent)に尽き,また現代はチーム医療であるので,医師の考えを他職種の人によく理解させ,また他職種の人達の意見を尊重することで解決されると,一口に言えますが,これは医師の人間性に大いにかかわることです。今まで大学を卒業した人達はこの人間性ができているものとして,卒後研修は医学的知識ならびに技術の向上にのみ力を人れているのが現状であったと思います.
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