巻頭言
卒後研修
中沢 洋一
1
1久留米大学医学部精神科
pp.114-115
発行日 1991年2月15日
Published Date 1991/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902990
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7月24日と25日の2日間,金沢大学の山口成良教授のお世話で,精神医学講座担当者会議が能登で開かれた。山口教授から卒後研修について話をするようにというご依頼があったので重い腰をあげて参加し,私たちの教室で行っている卒後研修について報告した。一昨年に旭川医科大学の宮岸教授のお世話でこの会議が開かれたおりにも卒後研修について話題を提供するように依頼されたが,当時は卒後研修についてはまだ模索中で実績もなかったので,お断りして欠席したといういきさつがあった。
医師の卒後研修の重要性が改めて指摘されるようになったのは最近のことであるが,九州大学と久留米大学の精神科で研究,教育,診療に携わってきた経験から,私も卒後研修の重要性についてはかねてから考えるところがあった。特に比較的最近は生物学的な研究が精神医学の中で活発になるにつれて,入局後は臨床を片手間のように考え,研究室に入りびたる人が少なくないように思われる。こうした傾向はどちらかと言えば明晰な頭脳を持っている人に強く,実際に彼らは研究にも熱心で学会発表も活発であるし,論文の数も多い。しかし彼らの中には,生物学者としての能力は高く評価されても,精神医学者としては首をかしげたくなる人がいることも事実である。病棟や外来に出る時間を惜しんで研究室に足を運ぶ人を見ていると,学生の教育も安心してまかされないと思うことも多い。
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