整形トピックス
ヨード担持抗菌インプラントの実用化に向けて
楫野 良知
1
,
土屋 弘行
1
1金沢大学大学院整形外科
pp.1266-1266
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_1266
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1900年代から世の中に抗菌加工をうたった日用品や家電製品が出回るようになった.日々の手術で使用する各種金属製インプラントが抗菌加工であったらと思ったことはないだろうか.われわれは,整形外科におけるインプラント周囲感染症(periprosthetic joint infection:PJI)の撲滅を目指し,ヨード担持抗菌インプラントの実用化に向けた研究開発を行ってきた.ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone:PVP)とヨウ素(iodine)の複合体であるポビドンヨードは,消毒薬として1800年代から使用され,一般細菌だけでなくウイルスや真菌などへの幅広い抗微生物スペクトルを有しており,耐性菌が出現しづらい,甲状腺ホルモンの構成成分であり生体のアレルギー反応が少ないといった特長があり,われわれはインプラントに抗菌活性を付与するための物質として着目した.金属インプラント表面への抗菌活性の付与には,陽極酸化と電着の技術を応用し,薄い酸化被膜に形成された微細な孔の周囲にポビドンヨードを担持(含浸)させている1)(図1).
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