関節リウマチの鑑別診断 -――見逃し・誤診を防ぐために

Differential diagnosis of rheumatoid arthritis to avoid overlooking and misdiagnosis

は じ め に

　関節リウマチ（rheumatoid arthritis：RA）は，早期にはほかの疾患と類似した症状を示すことが多いため，見逃しや誤診が起こりやすい疾患の一つである．RAの診断でもっとも重要な点は，滑膜炎（関節炎）の有無を確認することである．リウマトイド因子（rheumatoid factor：RF）や抗環状シトルリン化ペプチド抗体［anti-cyclic citrullinated peptide antibody：ACPA（抗CCP抗体）］は，RA診療において診断，重要度判定など多岐にわたり重要な役割をはたす自己抗体である．一方で，臨床的に関節炎がなくても自己抗体が偽陽性となった場合に診断が困難になる場合も少なくない．本稿では，RAの病態と疫学，その鑑別診断のポイントおよび見逃し・誤診を防ぐための対策を解説する．