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デノスマブによる骨粗鬆症治療は患者の生活の質を改善させる
-――コホート研究
Denosumab treatment improved health-related quality of life in osteoporosis;a prospective cohort study
林 申也
1
S. Hayashi
1
1神戸大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Kobe University Graduate School of Medicine, Kobe
キーワード:
osteoporosis
,
denosumab
,
QOL
Keyword:
osteoporosis
,
denosumab
,
QOL
pp.837-839
発行日 2020年6月1日
Published Date 2020/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_837
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【要 旨】
背 景:骨粗鬆症治療において患者の生活の質(quality of life:QOL)改善と骨折の予防は重要な要素である.われわれはデノスマブによる骨粗鬆症治療においてQOLの改善効果を調査した.
対象および方法:骨粗鬆症患者のうちデノスマブを2年間投与し経過観察が可能であった332例を対象とした.6ヵ月ごとにデノスマブを皮下投与し,投与時ごとに橈骨遠位端骨密度,血性Ca,P,P1NP,TRACP-5bを測定,さらにQOLの指標としてpain visual analogue scale(pain VAS)とEuroQol 5 Dimension(EQ-5D)を調査した.
結 果:橈骨遠位端の骨密度は投与開始時と比較して2年で3.4%増加した.血清P1NP,TRACP-5bの濃度は有意差をもって低下したがCa,Pは変化がなかった.Pain VAS,EQ-5Dはともに改善した.さらにEQ-5Dの値と骨密度には有意な相関関係があった.EQ-5Dの改善が阻害される因子として変形性膝関節症(膝OA),または二つ以上の共存合併症を有することが同定された.
結 論:本研究よりデノスマブによる骨粗鬆症治療は骨密度を上昇させるだけでなく患者QOLを改善させることが示唆された.
© Nankodo Co., Ltd., 2020