Japanese
English
骨・軟部腫瘍のマネジメント(その2) Ⅲ.良性骨腫瘍・腫瘍類似疾患の治療
1)骨巨細胞腫
デノスマブの時代の骨巨細胞腫の治療
Treatment of giant cell tumor of bone in the era of denosumab
浦川 浩
1
H. Urakawa
1
1名古屋大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Nagoya University School of Medicine, Nagoya
キーワード:
giant cell tumor of bone
,
treatment
,
denosumab
,
surgery
,
side effect
Keyword:
giant cell tumor of bone
,
treatment
,
denosumab
,
surgery
,
side effect
pp.36-39
発行日 2021年10月25日
Published Date 2021/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei80_36
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は じ め に
骨巨細胞腫は若年成人の長管骨の骨幹端から骨端にかけて好発する骨原発腫瘍である.骨原発腫瘍の4~5%を占める.2020年版の世界保健機関(WHO)分類において骨巨細胞腫は良性と悪性の中間に位置する “intermediate(locally aggressive,rarely metastasizing)” に分類され,臨床上腫瘍による骨破壊を特徴とする.初発例に対するX線分類としてCampanacci分類(grade Ⅰ:明瞭な境界をもち,皮質骨への進展がないか最小のもの,grade Ⅱ:皮質骨の菲薄化と膨隆がみられるもの,grade Ⅲ:皮質骨の穿孔や破壊があり,腫瘍が軟部組織に進展したもの)が用いられる1).Grade Ⅰ,Ⅱとgrade Ⅲの一部は病巣掻爬+局所補助療法で治療される.一方,grade Ⅲで関節破壊が顕著,病巣が巨大で病的骨折を伴う,あるいは再発を繰り返すといった症例は,en bloc切除が行われる.2014年からわが国においてデノスマブ(遺伝子組換え)が使用できるようになり,切除により著しい機能障害を生じる可能性のある骨巨細胞腫,あるいは脊椎,骨盤などの体幹発生で切除不能な骨巨細胞腫に対してはデノスマブの投与が考慮されるが,その適応は慎重に行うべきである.
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