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特集 整形外科臨床研究の手引き――適切に行い,正しく読み解くために
Ⅶ.最新研究紹介
1.整形外科領域のゲノム解析
Genomic study in orthopedics
池川 志郎
1
S. Ikegawa
1
1理化学研究所・生命医科学研究センター・ゲノム機能医科学研究部門・骨関節疾患研究チーム
1Laboratory for Bone and Joint Diseases, RIKEN Center for Integrative Medical Sciences, Tokyo
キーワード:
genomic study
,
skeletal dysplasia
,
polygenic disease
Keyword:
genomic study
,
skeletal dysplasia
,
polygenic disease
pp.716-719
発行日 2020年5月30日
Published Date 2020/5/30
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_716
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は じ め に
ヒトゲノム解析の技術の発達,とりわけ,次世代シーケンサーと総称される,DNAシーケンサー(DNAの塩基配列を決定する器械)の解析能の爆発的な向上により,パーソナルゲノム時代が到来した.個人のゲノムの情報を生活に活用する時代である.各個人のゲノム情報を現実的な価格(5~6万円)と時間(3~4週間)で,誰でも手に入れることができるようになり,個別化医療(personalized medicine),精密医療(precision medicine)といった,個人のゲノムの情報を基にした医療が,さまざまな領域で展開され始めている.これに対応して,医学のさまざまな領域でゲノム解析がすすんでいる.整形外科領域も例外ではない.
整形外科領域のゲノム解析は,① 骨系統疾患(骨形成不全症,軟骨無形成症など)や結合組織疾患(Marfan症候群やEhlers-Danlos症候群など)などの単一遺伝子病(monogenic disease),② 多因子遺伝病(polygenic disease),いわゆるcommon disease,生活習慣病,③ 骨軟部腫瘍,などの分野ですすんでいる.本項では,骨系統疾患と整形外科のcommon diseaseにおけるゲノム解析について述べる.
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