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はじめに
本疾患と初めて出会ったのは1958年川崎市立病院の小児科病棟である。私は1946年9月慶應義塾大学医学部を卒業し,以後内科教室の助手を務めていたが,1955年8月フルブライト留学生として米国ボルチモアのJohns Hopkins大学の神経内科助手として神経学を専攻し,1957年11月帰国し,東邦大学医学部内科助教授として勤務していた。滞米中は神経内科のレジデントとして新生児から老人まで幅広く診察していた関係で,帰国後も内科の患者も小児科の患者も診療していたが,全身の筋の痙攣を起こしている疾患は初めてであった。幸運にも慶應義塾大学病院の小児科にまったく同一の症状を示す患者が入院しており,2症例を同時に比較して診察することができた。これらの2症例について検討した結果を1963年南米ペルーのリマ市で開催された第1回のPan American Congress of Neurologyの特別講演として発表したのが最初である1)。
その後,1967年の米国神経学会でも発表した2,3)。本症は当初『日本医事新報』誌上で“全身こむら返り病”という新しい提唱を行ったところ4),日本各地,ことに整形外科の先生方から多数のお手紙をいただき,各地の大病院,大学で直接多くの症例を診察することができた。その後自験例3例以外に英国で1例,日本各地で13例を診療ないし検索し,本症は筋のこむら返り以外に全身の脱毛,下痢,無月経,全身の骨および関節の異常を伴う全身疾患であることがわかり,1978年日本神経学会総会の折に会長講演として“進行性筋痙攣,脱毛,下痢症候群”として本症例群の確立を提唱した5)。その際司会を務めた故・椿忠雄教授から本症を里吉病と呼ぶことを発案されて承認された6)が,1978年に観察した15例と剖検例2例を加え“進行性筋痙攣,脱毛,下痢症例群”という題名(「A Syndrome of progressive muscle spasm, alopecia and diarohea」)で『Neurology』に発表した5)。その後,国外ではSatoyoshi syndromeと呼ばれている。
Abstract
Satoyoshi syndrome is a rare disorder of unknown case characterized by progressive painful intermittent muscle spasms,alopecia,malabsorption amenorrhea and skeletal abnormalities mimicking a skeletal dysplasia.
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