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発育性股関節形成不全に対する人工股関節全置換術における母床骨による三次元被覆と二次元被覆との関係
Three-dimensional host bone coverage required in total hip arthroplasty for developmental dysplasia of the hip and its relationship with two-dimensional coverage
上野 琢郎
1
,
加畑 多文
1
,
土屋 弘行
1
T. Ueno
1
,
T. Kabata
1
,
H. Tsuchiya
1
1金沢大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Graduate School of Medicine Sciences, Kanazawa University, Kanazawa
キーワード:
DDH
,
THA
Keyword:
DDH
,
THA
pp.173-176
発行日 2020年2月1日
Published Date 2020/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_173
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【要 旨】
背 景:人工股関節全置換術(THA)においてカップの安定性に必要な寛骨臼母床骨への被覆率(被覆率)の閾値は過去に報告されている.しかしながら,通常被覆率は二次元で評価されており,三次元での詳細な評価を行った研究は少ない.
目 的:① 安定したカップ固定に必要な最小三次元被覆率を決定すること,② 二次元と三次元被覆の関係を評価すること,③ 二次元と三次元被覆の差(2D-3D discrepancy)に関連する要因を同定することである.
対象および方法:122例151(男性17,女性134)関節の発育性股関節形成不全(DDH)に対する初回THA術後2年以上経過例に対し,術後CTを用いて三次元被覆率を後見的に評価した.
結 果:すべてのカップは術後平均48ヵ月でbone ingrowthと判定され,弛みを生じた例はなかった.三次元被覆率の最小値は61.2%,平均値±標準偏差は77.1±6.7%,最大値は97.6%であった.三次元と二次元被覆率に有意な正の相関があったが,相関は弱かった(bone coverage index,r=0.30).その結果,2D-3D discrepancyは−1.6±12.3%(−36.5~32.2%)と値に大きな幅があった.多変量解析では2D-3D discrepancyに関連する要因として,低いカップ中心とAPP矢状面前方傾斜が独立因子として同定された.
結 論:本研究は立体構造の写像にすぎない二次元被覆率は過大に評価される可能性を示唆する.特に,低いカップ設置と骨盤前方傾斜例には注意が必要である.
© Nankodo Co., Ltd., 2020