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連載 卒後研修講座
iPS細胞を活用した骨軟骨疾患の病態解明と創薬
Disease modeling and drug discovery for bone and cartilage diseases using iPS cells
戸口田 淳也
1
J. Toguchida
1
1京都大学ウイルス・再生医学研究所/iPS細胞研究所
1Institute for Frontier Life and Medical Sciences/Center for iPS Cell Research and Application, Kyoto University, Kyoto
キーワード:
iPS cell
,
disease modeling
,
drug discovery
Keyword:
iPS cell
,
disease modeling
,
drug discovery
pp.265-268
発行日 2019年3月1日
Published Date 2019/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei70_265
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は じ め に
人工多能性幹細胞(iPS:induced pluripotent stem)細胞とは皮膚線維芽細胞のような分化した細胞に,複数の転写因子を強制的に発現させることによって,胚性幹細胞と同等の増殖能と多分化能を獲得させた細胞である.2006年にマウスで,2007年にヒトでiPS細胞の樹立が報告されて以降,さまざまな領域においてヒトiPS細胞から分化誘導した細胞の医療への応用が探索されてきた.再生医療への応用としては2014年に加齢黄斑変性症に対して,患者から樹立した自家iPS細胞から誘導した網膜色素上皮細胞の移植治療が,世界初のiPS細胞由来細胞の細胞移植として行われ,2017年良好な経過が報告された.そして最近,Parkinson病患者に対して,ヒト白血球型抗原(HLA)をマッチさせた他家iPS細胞由来のドーパミン産生細胞の移植が実施された.整形外科領域においても,脊髄損傷や軟骨損傷に対する他家iPS細胞由来の細胞を用いた移植治療の開発がすすめられている.このような細胞治療への応用に加えて,iPS細胞の重要な応用の一つが本稿で紹介する疾患特異的iPS細胞を活用した病態解明から創薬への応用である.
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