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は じ め に
脊椎インストゥルメンテーション手術において腰仙椎間はインストゥルメンテーションによる固定性の悪さからもっとも偽関節となる率の高い脊椎分節である.このため,グローバルバランスを改善させるために術前計画どおりに再建した脊椎の矯正損失を最小限に抑えるには,腰仙椎部でのインストゥルメンテーションによる初期矯正維持が特に重要であると考えられる.一方,腰仙椎部は固定端となり術後の脊椎運動による応力の集中が考えられ,S1への椎弓根スクリュー(PS)単独での固定性がわるい.このためPSの補強手段としてGalvestonテクニック,仙骨翼(alar)スクリュー,トランスバースロッド,腸骨(iliac)スクリューやS2仙骨翼–腸骨スクリュー(S2AIスクリュー)などの補助固定方法の紹介がなされてきた1~4).昨今の報告ではS2AIスクリューの固定力がもっとも強いと考えられる4).しかしながら,いまだにS2AIスクリュー刺入は簡単なものではなく,刺入点や刺入軌道の正確さが必要とされるために,ある一定の経験則を要するものと考える5).仮に理想的な軌道でスクリューの刺入ができたとしても,スクリューヘッドが大きいために仙椎の外壁を損傷する危険性がある.危険を冒してまでの追加補助固定は推奨されるべき方法とはいいがたい.
われわれは,仙椎のスクリュー固定性に不安があるような骨粗鬆症症例や多椎間固定症例に対して,スクリュー刺入点と軌道を変更したmodified腸骨スクリュー(MIスクリュー)の併用を行い初期の腰仙椎固定性を増強し,臨床的にL5/S椎体間固定を確実なものとしてきた.また,L5/S固定にMIスクリューを用いた固定を行った症例において,S2AIスクリューを刺入すると仮定して術前CTで刺入点と刺入方向を後ろ向きに調査し,安全にS2AIスクリューが刺入可能かどうかを検討した.実際にMIスクリューによる補助的な腰仙椎固定を行った症例についてMIスクリューによる固定性と侵入方向を,術後CTを用いて評価した.MIスクリューの安全性と固定性について検討を行った.
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