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人工膝関節全置換術時の前後安定性と屈曲ギャップとの相関
Correlation between intraoperative anterior stability and flexion gap in total knee arthroplasty
中村 伸一郎
1
S. Nakamura
1
1京都大学大学院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Graduate School of Medicine, Kyoto University, Kyoto
キーワード:
TKA
,
anterior instability
,
flexion gap
Keyword:
TKA
,
anterior instability
,
flexion gap
pp.1219-1222
発行日 2019年10月1日
Published Date 2019/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei70_1219
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【要 旨】
背 景:不安定性は人工膝関節全置換術(TKA)後に問題となることが多い.これまで術中に前方への移動量を定量化する方法はあまりなかった.本研究の目的は前方への移動量を新たに開発した器械を用いて測定し,移動量と関節のギャップとの相関を解析することである.
対象および方法:内側型変形性膝関節症に対し手術を行った50膝を対象とした.手術中膝関節90°屈曲で前方に70 Nの力をかけて,前方への移動量を測定した.関節のギャップはテンサーを用いて,178 Nの力をかけて屈曲位で測定した.前方への移動量と関節間のギャップおよび弛みとの相関をPearsonの相関係数を用いて計算した.
結 果:前方への移動量は平均で8.5mmで内側のギャップ(相関係数r=0.30),内側の弛み(r=0.33),中心の弛み(r=0.29)と正の相関を認め,前方への移動量は関節ギャップや弛みが増すにつれて増加した.
結 論:内側のギャップや弛みは前方への不安定性と相関を示し,不安定性の症状を引き起こすことがある.手術の際には過度の内側の剥離は避けるべきであると考えられた.
© Nankodo Co., Ltd., 2019