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【要 旨】
目 的:軟骨損傷に対するmicrofracture(MF)法は広く応用されているが,その修復機序はいまだ明らかではない.本研究の目的は,ラット全層軟骨欠損(full thickness cartilage defect:FTCD)モデルを用い,MF後早期の軟骨修復過程を経時的に組織学的評価することである.
対象および方法:10週齢ラットの大腿骨滑車部に3.0×3.0mmのFTCDを作製後,母床に直径0.4mm×深さ1.0mmのMFを5ヵ所に施し,術後0,1,3,7,14,28,56日まで経時的に組織切片を作製した.Safranin-O染色でFTCD部の修復部分をPinedaスコア(0~14点)により経時的評価し,tartrate-resistant acid phosphatase(TRAP)染色で破骨細胞数(/mm2)の計測およびその集積部位を評価した.また,FTCD部の軟骨下骨を経時的にμ-CTで撮影し,作製したMF骨孔径(mm)およびその周囲骨密度(BMD:mg/mm3)の変化を評価した.
結 果:術直後より,MF骨孔内には血餅が充塡していたが,FTCD部には1例以外血餅による被覆はなかった.Pinedaスコアは術後0~3日までは著変なく,術後7日以降は有意に改善した.TRAP陽性細胞は,術後3日で骨孔深層部に最大数が集積した後,経時的に軟骨下骨のリモデリングが活発な部位に限局しながら正常数にまで減少した.MF骨孔径は術後14日に最大となり,術後28日までにほぼ消失した.骨密度も同様に術後14日に最大となり,術後56日までに術前レベルに変化した.
考 察:FTCDに対するMF後の早期修復機序は,軟骨欠損部の血餅由来ではなく,作製したMF骨孔内の深層における内軟骨骨化に由来することが明らかとなった.
© Nankodo Co., Ltd., 2019