Japanese
English
論説
大腿骨近位部骨折例における術前移動能力と骨粗鬆症関連パラメータの関連性
Relationship between preoperative mobility and osteoporotic condition in patients with proximal femoral fractures
湯浅 悠介
1
,
宮腰 尚久
1
,
粕川 雄司
1
,
木村 善明
2
,
柏倉 剛
2
,
永澤 博幸
1
,
若林 育子
3
,
野坂 光司
1
,
土江 博幸
1
,
島田 洋一
1
Y. Yuasa
1
,
N. Miyakoshi
1
,
Y. Kasukawa
1
,
Y. Kimura
2
,
T. Kashiwagura
2
,
H. Nagasawa
1
,
I. Wakabayashi
3
,
K. Nozaka
1
,
H. Tsuchie
1
,
Y. Shimada
1
1秋田大学大学院整形外科
2市立秋田総合病院整形外科
3市立秋田総合病院リハビリテーション科
1Dept. of Orthop. Surg., Akita University Graduate School of Medicine, Akita
キーワード:
osteoporosis
,
preoperative mobility
,
femoral proximal fracture
Keyword:
osteoporosis
,
preoperative mobility
,
femoral proximal fracture
pp.1-3
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei70_1
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は じ め に
近年,わが国では急速に高齢化がすすみ,骨粗鬆症患者数は増加の一途をたどっている1).骨粗鬆症による脆弱性骨折は,高齢者の活動性を低下させ,寝たきりの原因となる.また,高齢者は筋力も落ちるため,一層活動性や歩行能力は低下する.この活動性や歩行能力の低下は,さらなる骨粗鬆症の進行につながることが懸念される.
これまで,われわれは重度の不動性骨粗鬆症と考えられる寝たきり患者に生じた介護骨折症例では,骨代謝マーカーである尿中デオキシピリジノリン(DPD),血清Ⅰ型コラーゲン架橋Nテロペプチド(NTX),ペントシジンが高値となることを報告した2).また,脳卒中,Parkinson病による不動性骨粗鬆症では,大腿骨近位部骨折のリスクが高まることが知られている3,4).このように寝たきりや神経障害による重度の不動化は骨粗鬆症をもたらすが,重度の不動にいたらずとも,軽度の不動と考えられる活動,生活範囲が屋内のみにとどまるなどの移動能力の低下が,骨密度や骨代謝マーカーなどにどのような影響を及ぼすかは明らかでない.
そこで本研究では,生活機能が屋内にとどまるあるいはベッド上での生活が多いなどの移動能力低下が骨密度と骨代謝マーカーに及ぼす影響について検討した.
© Nankodo Co., Ltd., 2019