前立腺癌に対する性ホルモン低下療法後に両側大腿骨近位部骨折を生じた骨粗鬆症の1例

Bilateral hip fracture secondary to osteoporosis in a man receiving androgen-deprivation therapy for prostate cancer；report of a case

　性ホルモン依存性腫瘍である前立腺癌の治療では，性ホルモン機能抑制のための内分泌療法としてアンドロゲン遮断療法（androgen deprivation therapy：ADT）が標準的治療の一つであり，LH-RHアゴニスト（黄体化ホルモン放出作動薬）が投与されることが多い．ADTに伴う有害事象として，骨塩量の低下，骨折リスクの上昇が報告されている^1～4）．

　われわれは，前立腺癌に対するADTを受けた後に，明らかな外傷機転なしに両側大腿骨頚部骨折を発症して歩行困難となり受診した症例を経験したので報告する．