Japanese
English
経験と考察
骨転移診療介入初期における院内連携の現状とその問題点
Current status and problem in cross sectional medical care for patients with bone metastasis;How can orthopaedic surgeons contribute?
時崎 暢
1
,
阿部 哲士
1
,
佐藤 健二
1
,
小黒 大輔
1
,
藤沼 渉
1
,
河野 博隆
1
T. Tokizaki
1
,
S. Abe
1
,
K. Sato
1
,
D. Oguro
1
,
W. Fujinuma
1
,
H. Kawano
1
1帝京大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Teikyo University School of Medicine, Tokyo
キーワード:
bone metastasis
,
cross sectional medical care
Keyword:
bone metastasis
,
cross sectional medical care
pp.910-913
発行日 2018年8月1日
Published Date 2018/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_910
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は じ め に
近年のがん治療の進歩により,がん患者の生存期間は著しく延長している.それに伴って骨転移を有する患者も増加の一途をたどっている1).これまで骨転移が生じると「末期」として扱われ,有効な治療法も限られていたため治療対象となることは少なかった.しかしがん患者の予後が延長することで,患者のactivities of daily living(ADL)やquality of life(QOL)の維持・向上が重要視されるようになり,それに伴って骨転移診療の重要性も高まっている2).
骨転移が進行すると,骨関連事象(skeletal related event:SRE)をきたすことが知られている.特に病的骨折や脊髄麻痺といった重度SREをきたすと,患者のADLやQOLは著しく低下する.ADLの低下はperformance status(PS)の悪化を招き,原疾患の治療にも影響するため,その予防はきわめて重要といえる3,4).
当院における骨転移診療では,これまで脊髄麻痺や病的骨折を起こした後に原発科より整形外科を紹介され受診する患者が多かったため,骨転移患者のADLやQOLを維持・向上させることは非常にむずかしかった.
このような状況から,骨転移に対する整形外科の積極的な介入が重要と考え,当院では2013年より骨転移症例に対し積極的な介入を開始した.
本研究の目的は,骨転移診療の強化を始めた初年度における骨転移症例の診療状況と整形外科の介入状況を把握し,問題点を抽出することである.
© Nankodo Co., Ltd., 2018