Japanese
English
骨・軟部腫瘍のマネジメント(その1) Ⅱ.診 断
3.骨関連事象(SRE)への対応
骨転移診療における院内連携
-――骨転移外来
In-hospital cooperation in bone metastasis treatment:bone metastasis outpatient
吉山 晶
1
,
森岡 秀夫
1
A. Yoshiyama
1
,
H. Morioka
1
1東京医療センター整形外科・骨軟部腫瘍センター
1Dept. of Orthop. Surg., Musculoskeletal Tumor Center, National Hospital Organization, Tokyo Medical Center, Tokyo
キーワード:
bone metastasis
,
in-hospital cooperation
,
bone metastasis outpatient
,
cancer board
Keyword:
bone metastasis
,
in-hospital cooperation
,
bone metastasis outpatient
,
cancer board
pp.118-121
発行日 2021年4月20日
Published Date 2021/4/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei79_118
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
現在,わが国は生涯で2人に1人が癌と診断される時代になった.近年の診断技術の進歩や新規治療法の開発により癌患者の生命予後は改善しており,以前には経験したことがないような原発巣においても骨転移に関する診療が必要な状況となった.これは予後が限られていた癌腫に対して分子標的治療や免疫療法などの新規治療が行われ,癌と共存しながら生存する癌患者が増加した結果である.また,癌治療は患者のパフォーマンスステータス(performance status:PS)によって治療内容や適応がかわることがある.特に初診時から骨転移を生じている症例では,治療方針を決定するうえで運動器障害の程度とその対応を把握することが重要である.
一方で,癌患者の多くは中高年齢であるため,変形性関節症や腰部脊柱管狭窄症などの運動器変性疾患が併存していることが多い.疼痛やしびれなど運動器の症状を主訴とする癌患者の診療を行う場合,原発診療科の担当医は癌骨転移の存在診断や癌治療関連の運動器障害,運動器変性疾患などの鑑別に苦慮する症例が増加している.
これらの問題を解決できるのは運動器診療を専門とする整形外科医であり,癌診療が間違った方向にすすまないよう軌道修正する役割をはたしていかねばならない.本稿では,骨転移コンサルテーション体制のうち骨転移外来を中心として院内癌診療にはたしてきた役割を述べる.
© Nankodo Co., Ltd., 2021