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は じ め に
頚椎後縦靱帯骨化症(OPLL)における靱帯骨化の進展や脊髄症の悪化にはメカニカルストレスが関与すると推定されている.OPLLは可動性の大きい頚椎部に好発することや,OPLL患者から採取した靱帯由来細胞は非OPLL患者よりも伸展刺激に対して高い反応性を示し骨芽細胞への分化に関与する遺伝子発現が誘導されることが根拠として報告されている1~7).また,OPLL患者と頚椎症性脊髄症患者の日常生活習慣を比較した研究において,OPLL患者では頚椎前屈位保持時間が有意に長い傾向があることが報告されており,後縦靱帯に対する張力方向の伸展ストレスが発症に関与する可能性が示唆されている8,9).一方,OPLL患者に特有の職業はなく,重労働との関連は否定的とされている10).
さて,なんらかのメカニカルストレスがOPLLの進展や麻痺(脊髄症)に関与するとした場合,実臨床における最大の関心事はメカニカルストレスをどのように評価するかということになる.しかし,OPLL患者ではX線側面像機能撮影で確認できるような生理的範疇を超える椎間不安定性はなく,動きの程度からメカニカルストレスの程度を推定することはできない.そこで本研究では,骨が内部応力や外からのメカニカルストレスに対応してその密度を変化させること(Wolffの法則)に注目し,CTを用いてメカニカルストレスを推定できないかと考えた.すなわち,もっとも大きな骨化巣を有する高位や脊髄障害の責任病巣付近に局所的な骨密度の増加があれば,その部位には通常よりも大きなメカニカルストレスが加わっていることを間接的に示している可能性がある.この研究仮説を検証するため,本研究では頚椎OPLL患者のCT画像を用いて椎体骨密度分布を調査し,OPLLのタイプや最大骨化巣高位との関連を検討した.
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