喫茶ロビー
ボルダリング
飛松 好子
1
1国立障害者リハビリテーションセンター総長
pp.394-394
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_394
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- 文献概要
ボルダリングは2020年東京オリンピックに新規採用されたスポーツクライミングの1カテゴリーである.4mほどの壁を道具を使わずに登る.ジムをボルダリングジムといったり,クライミングジムといったりするが,あまりかわりはない.クライミングは,元々はロッククライミングのことであり,練習用に室内ジムができたが,ロープで安全を確保しながら登るので,室内の場合にはロープクライミングと呼ばれる.ボルダリングは元々は山や河原にある大きな岩をよじ登るものであるが,それを室内に置き換え,岩の代わりに壁をしつらえて登るものが室内ボルダリングである.室内も隆盛を極め,室内とつけなくとも今や通じるようになった.安全は,床に敷かれた厚いマットで転落の衝撃を軽減することで確保される.
3年半ほど前,ボルダリングをやってみようと思い立った.個人レッスンをしてくれるジムを見つけて行ってみた.ボルダリングジムの壁の傾斜は様々で,垂壁を90°とするとそれよりも傾斜がきつい(被った)壁になればなるほど数値が大きくなる.究極にはルーフと呼ばれる天井を這うような壁もある.私の目的は被った壁を登ることである.さんざん迷ったあげくに恐る恐る行ったのであるが,思った通り歯が立たなかった.垂壁でも落ちる.お子様用のスラブ壁からも落ちる.年寄りの冷や水を通り越して年寄りの氷水である.止せばよかったと思ったがもう遅い.3ヵ月経って被った壁で練習できるようになり,9ヵ月経ってようやく120°の一番易しいルートが登れた.若者であったら初日に登れてしまったりするようなルートであったが,それでもうれしかった.
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