Japanese
English
問題点の検討
頚椎脱臼骨折に合併した椎骨動脈損傷(VAI)
-――VAIは整復前に治療されるべきか
VAI following cervical spine fracture-dislocation;reports of three cases;should VAI be treated prior to reduction?
森田 友安
1
,
早川 恵司
2
,
寺山 星
3
,
原 慶宏
4
,
山崎 隆志
5
E. Morita
1
,
K. Hayakawa
2
,
S. Terayama
3
,
N. Hara
4
,
T. Yamazaki
5
1東京大学医学部附属病院救急部
2高島平中央病院整形外科
3参宮橋脊椎外科病院
4武蔵野赤十字病院整形外科
5武蔵野赤十字病院
1Dept. of Acute Medicine, Faculty of Medicine, The University of Tokyo, Tokyo
キーワード:
vertebral artery injury(VAI)
,
cervical spine fracture-dislocation
,
cerebral infarction
Keyword:
vertebral artery injury(VAI)
,
cervical spine fracture-dislocation
,
cerebral infarction
pp.357-362
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_357
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は じ め に
椎骨動脈損傷(vertebral artery injury:VAI)を合併した頚椎脱臼骨折においては,整復操作により椎骨動脈損傷部から血栓が遊離し,脳梗塞を発症するリスクがあることを認識することが重要である.それぞれ整復前のマネジメントが異なる頚椎脱臼骨折の3例から,この合併症を回避するための整復前の脳血管造影・血管内治療の有用性と問題点を示した.
元来,頚椎脱臼骨折に合併するVAIはまれとされており,症例報告が散見されるのみであった6)が,CTAやMRAなどの画像診断技術の進歩により17~33%と低くない頻度にVAIを合併し脳虚血症状を起こしうることが報告されており4,5,7),頚椎脱臼骨折の予後に大きな影響を与える合併症と考えられる.しかし鈍的外傷全体においてはVAIの頻度が1%前後4,10)と少ないため,これらの合併例に関する治療のコンセンサスはいまだ得られていないのが現状である.本稿では,頚椎脱臼骨折にVAIを合併した3例を報告し,VAIに対する脱臼整復前のマネジメントについて考察を加える.
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